| 『白沢の湯』ってなに? |
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| 『白沢の湯』の「白沢」ってなに? |
| なんでこんなとこに温泉が出たの? |
| お客様よりこのような質問をたびたび頂戴します。 |
| そこでなぜ「白沢」なのか、なぜここに温泉が出たかを綴ります。 |
| 題して《白沢の湯物語》 |
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| 第一章・初夢 |
平成11年も終わりを告げる大晦日、白井日支雄(しらいひしお)は仲間と酒を酌み交わし午後11時過ぎに帰宅した。
日支雄の自宅では家族が日支雄の帰りを待っていた。家族とのささやかな忘年会をし、時刻がもうすぐ0時になろうかというころ、平成12年の幕開けを待たずに日支雄は眠りについてしまった。
この時期、忘年会などなにかと会合が多く、家族との団欒の時間が取れなかった日支雄はつかの間の家族との談笑ですっかり安心し眠ってしまった。
この時見た夢が日支雄にとって初夢と言うことになる。不思議な夢だった。雪の降り積もる中、白いサルがちょこんと座っている。白サルは日支雄を威嚇するわけでもなく、ひっかいたり噛み付いたりするわけでもなく、ジッと日支雄に目を向けちょこんと座っていただけだった。 |
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| 第二章・白サル |
初夢以降、日支雄が見る夢はいつもこの夢だった。降り積もる雪がなくなっても白サルはその場所に座ったままだった。しかし日常の忙しさもあり、起きている間にこの夢のことを考えることはまったくなかった。
桜の花も散ろうかというある日、日支雄は友人と夕食を共にした。友人と酒を酌み交わしながら日支雄はフッと思い出し夢の話をしてみた。
友人は笑いながら「そりゃ白サルに恨まれてるんだよ。白布に行った時に白サルを車で轢いたんじゃないの?」と言った。が日支雄は車で轢いたことはもちろん、白サルに恨まれるようなことはまったく身に覚えがない。夢の中の白サルも日支雄を恨んでいる様子もないし、恐い感じはまったくなかった。
夢の話はそこで終わり、話題は仕事の話に移っていった。この友人、不動産業を営む斎藤文孝(さいとうふみたか)の話は「今度、ウチの近所にアパートを建てる計画がある。そこでそのアパートの設計を頼みたい。」旨の話だったが、この時の日支雄の耳には文孝の話はまったく聞こえていなく、白サルとの関わりばかり考えていた。 |
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| 第三章・場所 |
後日、文孝と日支雄はアパート建設予定地を訪れた。この地を訪れ日支雄は不思議な感じがしていた。「どこかで見たことがある、いや、来たことのある場所だな・・・。」と思った。が日支雄がこの場所に来たのは間違いなく今回が初めてだった。
アパート建設計画を話す文孝だったが、日支雄はまったく聞いていない様子の生返事。「おい!どうした?」と問い掛ける文孝に対しても返事がない。と急に日支雄が大声を出した。「あ〜〜!!!白サルだ、白サル!!!」「白サル?こんなとこにサルがいるわけないだろ。」と文孝が言うと「そうじゃないよ、夢だよ、夢の白サル。ここだよ、ここ、ここに座ってたんだ。」
夢の中の白サルが座っていた場所はなんとここであった。だが夢の中の白サルがいた場所を特定できたからと言ってどうということはない、ただそれだけのことである。一級建築士である日支雄はアパートの設計を引き受け、この日はこの場を後にした。 |
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| 第四章・夢ふたたび |
その日の夜、日支雄が見た夢にも白サルは出てきた。今度はただ座っているだけでなく、白サルが風呂に入っている夢であった。それもただの風呂ではなく温泉のようだ。はっきり温泉とわかったわけではないが、なんとなく「温泉ではないか?」と日支雄は思った。
場所が特定できて、その日の夜に今度は違う夢、だがまたもや白サルが出てきて今度は温泉に入っている。日支雄は起床するとすぐに文孝に連絡を取り夢の話をした。
笑いながら取り合わない文孝に対し、日支雄は直接出向き熱心に夢の話をした。日支雄は白サルが座っていた場所を掘ると温泉が出るのではないかと思っていた、いや、出ると確信していた。最後に日支雄は「アパートを建てる前に白サルが座っていた場所を掘りたい」と締めくくった。
文孝は日支雄の熱心さに半信半疑ながら「アパートを建てれば消雪が必要になるし、温泉とはいかなくても地下水が出ればいいか」と日支雄の申し出を了承した。 |
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| 第五章・温泉 |
早速、翌週から白サルが座っていた場所の掘削作業が開始された。掘削の結果、地下水は出たものの成分は温泉とは認められなかった。それでも日支雄は諦めることができず「もう少し、もう少し」と深さを増していった。すでに掘削は通常、地下水を汲み上げる深さをゆうに超えている。それでも日支雄は作業員に「もう少し、もう少しだけ」と頭を下げ作業を続けてもらった。
掘削が550メートルを越えたころ、ついに温泉が出てきた。日支雄は歓喜した。温泉が出てきたことよりも夢の中の白サルが訴えかけていたことが現実となったことが嬉しかった。
後日、温泉成分の分析をした回答が日支雄の手元に届いた。分析の結果、優れた泉質であったことが日支雄をさらに喜ばせた。
「せっかくのすばらしい温泉、これをたくさんの人に使ってもらいたい。」日支雄は決心した。「低料金で利用でき、たくさんの人に入ってもらえる施設にしよう。」日支雄の構想に周囲は反対した。そして予定通りアパートを建設することに決定した。日支雄も渋々ながら了承した。 |
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| 最終章・白沢の湯 |
二ヵ月後、日支雄の完成させた設計図面を基にアパート建設の打ち合わせが行われた。しかし日支雄がその場に持参した設計図はアパートのそれではなく、公衆浴場の設計図であった。
周囲は唖然とした。しかしかまわずに公衆浴場温泉について熱心に語る日支雄。周囲の反応は冷ややかなものであった。「こんな狭い場所じゃ休むところもないし、できるわけがない。」
日支雄は「温泉の質が良ければたくさんの人が来てくれるはず。休憩しに来るわけじゃなく、温泉に入りに来る人がいるはずだ。」周囲は反対派ばかりであったが、日支雄の熱意に打たれて唯一賛成したのが友人の文孝であった。この信念の下『白沢の湯』は誕生した。
日支雄は自らが社長となり会社を設立した。同時にこれで夢の中の白サルに対して責任を果たせたような達成感と充実感を感じていた。
日支雄は白サルに敬意を表し、また自分の姓(白井)から一字取り、そして米沢の皆さまに愛される温泉となるよう『白沢の湯』と命名した。 |
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